3Dプリンター用フィラメントの種類|PLA・PETG・ABS・TPUの選び方
フィラメントには様々な種類があり、それぞれ「印刷しやすさ」「強度」「耐熱性」「柔軟性」などが大きく異なります。用途に合わない素材を選ぶと、印刷失敗の原因になったり、せっかく作った作品がすぐ破損してしまうこともあります。
3Dプリンター(FDM方式)を購入して最初に悩むのが「どのフィラメント(材料)を使えばいいのか?」という点です。
フィラメントには様々な種類があり、それぞれ「印刷しやすさ」「強度」「耐熱性」「柔軟性」などが大きく異なります。用途に合わない素材を選ぶと、印刷失敗の原因になったり、せっかく作った作品がすぐ破損してしまうこともあります。
この記事では、DIYや工作でよく使われる代表的な4種類のフィラメント(PLA / PETG / ABS / TPU)を徹底比較し、用途に応じた選び方を分かりやすく解説します。
1. 主要フィラメント4種類の比較表
まずは全体像を把握できるように、主要4素材の特性をまとめました。
| 素材 | 印刷難易度 | 強度・耐衝撃性 | 耐熱温度 | 柔軟性 | 主な用途・特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| PLA | ★☆☆(極めて簡単) | ★★☆(硬いが脆い) | 約 50〜60℃ | ×(硬質) | フィギュア、置物、試作、室内用小物 |
| PETG | ★★☆(簡単〜普通) | ★★★★☆(粘り強く頑丈) | 約 70〜80℃ | △(わずかにしなる) | 水回り用品、屋外ツール、耐衝撃パーツ |
| ABS/ASA | ★★★★☆(難しい/要囲い) | ★★★★☆(高耐熱・高強度) | 約 90〜100℃ | △(頑丈) | 自動車パーツ、屋外用品、後処理(研磨)する作品 |
| TPU | ★★★☆(やや難) | ★★★☆☆(ゴム状) | 約 70℃ | ★★★★★(ふにゃふにゃ) | スマホケース、パッキン、グリップ、クッション |
2. 各フィラメントの特徴とメリット・デメリット
① PLA(ポリ乳酸)— 初心者はまずこれ!最も扱いやすい標準素材
トウモロコシなどを原料とした植物由来のプラスチックです。
- メリット:
- 印刷時の反り(ワーピング)がほとんど起きず、1層目の密着が良い。
- 印刷時の臭いが少なく、甘い香りがする。
- 硬度が高く、表面の仕上がりが綺麗。
- デメリット:
- 耐熱温度が約60℃と低く、夏の車内や直射日光の当たる場所に放置すると変形する。
- 「硬くて脆い(衝撃に弱い)」ため、力をかける工具や構造パーツには不向き。
- こんな時におすすめ: 3Dプリンターを使い始めたばかりのテスト印刷、部屋のインテリア、卓上整理グッズなど。
② PETG(ポリエチレンテレフタレート)— DIY実用パーツの決定版!
ペットボトルと同じ系統の素材です。PLAの印刷しやすさとABSの頑丈さを兼ね備えたバランスの良いフィラメントです。
- メリット:
- 耐熱温度が約75〜80℃あり、日常の実用品に十分耐えられる。
- 粘り強さがあり、衝撃を受けても割れにくい。
- 耐水性・耐薬品性に優れ、水回りや屋外でも使える。
- デメリット:
- 印刷時に糸引き(ストローク)が発生しやすい。
- 吸湿しやすいため、保管に気を使う必要がある。
- こんな時におすすめ: 工具ホルダー、水回りグッズ、屋外で使用するフック、少し強度が必要なDIYパーツ。
③ ABS / ASA(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)— 高耐熱・高強度なプロ仕様
プラモデルや家電製品のボディなどにも使われる工業用プラスチックです。ASAはABSの耐候性向上バージョンです。
- メリット:
- 耐熱温度が約100℃と非常に高く、熱がかかる場所でも使用可能。
- ヤスリがけや塗装、アセトンによる表面平滑化などの後処理がしやすい。
- デメリット:
- 冷却時の熱収縮が大きいため、非常に「反り(ワーピング)」やすい。
- 印刷時に特有のプラスチック臭(溶剤臭)がする。
- 綺麗に刷るには密閉型ケース(エンクロージャー)やヒートベッド(100℃以上)が必須。
- こんな時におすすめ: 車両・バイク用パーツ、塗装前提の模型、高温環境で使用するパーツ。
④ TPU(熱可塑性ポリウレタン)— ゴムのように曲がる柔軟素材
伸び縮みする柔軟性を持ったエラストマー素材です。
- メリット:
- ゴムのように柔軟で、折り曲げたり押したりしても元に戻る。
- 耐摩擦性・衝撃吸収性に非常に優れている。
- デメリット:
- 柔らかいため、ボーデン式エクストルーダー(フィラメントを送るチューブが長いタイプ)では詰まりやすい。
- 印刷速度をかなり遅く(20〜30mm/s)設定する必要がある。
- こんな時におすすめ: スマホケース、工具の滑り止めグリップ、防水パッキン、衝撃吸収ダンパー。
3. 用途別!おすすめフィラメントの選び方
- 「まずは失敗せずに印刷したい・置物を作りたい」
PLA を選びましょう。
- 「壊れにくい実用的なDIYツールやフックを作りたい」
PETG がベストチョイスです。
- 「夏場の車内に置くものや、ヤスリがけ・塗装をして本格的な作品を作りたい」
ABS / ASA を選びましょう。
- 「衝撃を吸収するカバーや、曲がるパーツを作りたい」
TPU を選びましょう。
4. まとめ
3Dプリントを始めるなら、まずは「PLA」で操作やスライス設定に慣れるのが一番の近道です。
慣れてきたら、DIYの範囲を広げるために「PETG」に挑戦してみましょう。PETGが扱えるようになると、日常生活やDIYで使える本格的な実用パーツが自由に作れるようになりますよ!
作業前に確認したいこと
温度・速度・寸法などの設定値は、機種、ノズル、フィラメント、使用環境で変わります。メーカーの取扱説明書とフィラメントの指定を優先し、変更は一度に一つずつ行って端材で確認してください。高温部・可動部・電装部に触れる作業は、必要に応じて電源を切り、十分に冷ましてから行います。
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