DCDCコンバータの使い方|降圧・昇圧の選び方と電圧調整
手元の直流電源と、使いたい部品の電圧が合わないときに使うのがDCDCコンバータです。たとえば12Vから5Vへ下げる、電池の電圧を上げる、といった用途に使えます。
ただし、DCDCコンバータは直流専用です。入力と出力の極性、許容電圧、必要な電流を間違えるとモジュールや接続先を壊すおそれがあります。負荷をつなぐ前に、必ずテスターで出力を確認してください。
1. 降圧(Step-Down)と昇圧(Step-Up)の違い
DCDCコンバータには、電圧を下げる「降圧」と、上げる「昇圧」、入力条件によって上下どちらにも変換する「昇降圧」があります。
1. 降圧 (Step-Down) : 入力 [ 12V ] ─── ( DCDC降圧 ) ─── Output [ 5V / 3.3V ] (高い電圧を下げて取り出す) 2. 昇圧 (Step-Up) : 入力 [ 3.7V ] ── ( DCDC昇圧 ) ── Output [ 9V / 12V ] (低い電圧を上げて取り出す)
| タイプ | 動作 | 主な用途 | 代表的なモジュール |
|---|---|---|---|
| 降圧 (Step-Down) | 入力電圧より低い電圧を出力。 | 12V/24Vの直流電源から5Vや3.3Vを作る。 | LM2596、MP1584など |
| 昇圧 (Step-Up) | 入力電圧より高い電圧を出力。 | 電池などの低い電圧から、より高い電圧を取り出す。 | MT3608、XL6009など |
| 昇降圧 (Buck-Boost) | 入力が目標電圧より上にも下にもなる条件で、指定電圧を出力できる製品がある。 | 放電で電圧が変動するバッテリーから一定電圧を取り出す。 | 製品ごとに方式・仕様が異なる |
ICの仕様を確認するときは、TIのLM2596公式ページやMPSのMP1584公式ページなど、使用する部品の公式資料を確認してください。
2. 定番DCDCコンバータモジュール比較表
同じIC名でも、搭載部品・放熱・端子・保護回路は販売されている基板ごとに異なります。下記はICの分類の目安であり、実際に使うときは購入したモジュールの説明とデータシートを確認してください。
| IC・モジュール例 | 変換タイプ | 確認すること | 用途の目安 |
|---|---|---|---|
| MP1584 | 降圧 | 入力・出力の許容範囲、放熱、実用電流 | 小型の降圧モジュールでよく使われる。 |
| LM2596 | 降圧 | 入力・出力の許容範囲、放熱、実用電流 | 比較的大きな降圧モジュールでよく使われる。 |
| MT3608 | 昇圧 | 入力電流の余裕、出力電圧、発熱 | 小型の昇圧モジュールでよく使われる。 |
3. 【実践】電圧の調整・設定手順(テスター必須)
可変出力タイプの基板には、半固定抵抗(トリマー)が載っています。トリマーの回す向きや回転数は基板によって異なるため、決めつけずにテスターで表示を見ながら少しずつ調整します。
【 DCDCコンバータの調整配線 】
[ 入力電源 (例:12V) ] ─── ( IN+ / IN- ) ┌──────────────┐ ( OUT+ / OUT- ) ─── [ テスター (電圧計) ]
└──────┬───────┘
│
[ 青いトリマー ]
※少しずつ回して電圧を確認
調整の4ステップ
- 端子と入力を確認:基板の
IN+/IN-とOUT+/OUT-を確認します。ACアダプタを使う場合は、出力が直流であることも確認します。 - 出力だけを測定:接続先の機器はまだつながず、
OUT+とOUT-にテスターをつなぎ、直流電圧レンジで測定します。 - トリマーを少しずつ回す:金属部分で端子を短絡させないように注意し、目標の出力電圧になるまで少しずつ調整します。
- 負荷をつないで再確認:入力を外してから接続先を配線し、通電後に電圧・発熱・動作をもう一度確認します。
4. DCDCコンバータ使用時の注意点
① 昇圧時の電流増加(エネルギー保存の法則)
昇圧コンバータで電圧を上げる場合、同じ電力を取り出すために入力側には出力側より大きな電流が必要になります。変換には損失もあるため、入力電力より大きな出力電力は取り出せません。
- 例:3Vから12V・1A(12W)を取り出すには、損失を無視しても入力側で4Aが必要です。実際には損失分を含めてさらに余裕が必要になるため、小さな電池や細い配線では対応できません。
② 発熱と放熱対策
連続使用時の発熱は、電流、入力と出力の電圧差、基板の放熱設計で変わります。触れないほど熱くなる、出力が下がる、保護停止する場合は使用を止め、負荷を下げる・放熱を見直す・余裕のあるモジュールへ変更します。
③ 極性・電流・USB用途を確認する
- 多くの非絶縁型モジュールでは入力と出力のGNDが共通です。極性を逆に接続しないでください。
- 「最大電流」はICの定格と基板で実際に流せる電流が異なる場合があります。連続使用は余裕を持たせます。
- 5Vを出力できても、USB給電・充電に必要な端子の仕様や制御まで自動で満たすわけではありません。
- リチウムイオン電池を使う場合は、保護回路・充電方法・配線を電池の仕様に合わせます。
5. まとめ
- 入力より低い電圧が必要なら降圧、高い電圧が必要なら昇圧を選ぶ。
- モジュール名だけで選ばず、入力・出力の許容範囲、実用電流、放熱を確認する。
- 接続先をつなぐ前に、テスターで出力電圧と極性を確認する。
- 負荷をつないだ後も電圧・発熱・動作を確認する。
基本の試作には、ブレッドボードとユニバーサル基板の基礎、電気工作の電源選びと安全対策ガイド、デジタルテスターの正しい使い方と測定ガイドも役立ちます。